令和七年十月の稽古

少しずつ涼しくなってきて過ごしやすくなってまいりました

10月は、風炉の最後のひと月

少しだけお客様に火を近づけて、水を遠ざけます

中置きといって風炉を畳の中央に、水指を左に置く点前になります

このひと月は風炉の名残りとも言いまして、昔の人は茶壺に残った最後のお茶を名残惜しく飲んでいたのでした

お道具の取り合わせや室礼は、「侘び」と「みのり」を表し、壊れた物を繕って使ったり、外国の土産や、民藝の物を使ったりして、大いには遊びを取り入れます

我が家の稽古では、長緒や棗の濃茶の大津袋・包み帛紗など小習いの濃茶をいたします

令和七年九月の稽古

気がつくと夕方が早くなったのを感じます

そう思っているのは私だけでないことを虫の音が知らせてくれるのでした

9月は重陽、菊の節句がございます 菊には不老長寿を叶える力があると信じられ、古来宮中にて永く行われてきた着せ綿などの行事がございますから、それを模して茶室も菊尽くしになります

稽古はといいますと、風炉が常据え(定位置)に置かれる最後の月ですので、小棚や長板二つ置きなどのお点前をいたします

夕方から夜、稽古をしておりますと庭のコオロギが盛んに泣くのが聞こえます

虫の音を聞きながらいただくお抹茶も一興でございます

令和七年八月の稽古

立秋を過ぎてもなお厳しい暑さは続いておりますが、庭の蝉の声が聞こえると少し気温が緩み、鳴く余裕ができたのかなと思うこの頃です

8月は茶箱・茶籠のお点前を稽古いたします

我が家では、毎年8月ひと月だけ茶箱をするのが恒例になっており、茶箱好き達の楽しみな月間になっております

小さいお道具を出したり入れたり、おままごとのようなそれは、老若男女問わずに楽しい時間を作り出してくれます

さらに、茶箱は見立て使いを駆使して、自分だけのオリジナル茶箱を組むことも出来ますので、楽しみ方が多方向に及んでまいりますよ

令和七年七月の稽古

7月の頭に九州は宮崎県の高千穂峡、熊本県の阿蘇山、大分県の湯布院・別府とめぐり、初めての九州を楽しみました

そちらでは七夕の気配は全く無かったように感じましたが、旧暦で行われる地方が多い節句でもありますものね

阿佐ヶ谷に戻り、我が家の七夕は新暦でいたしますから、一週目の稽古は七夕の趣向で、お点前は葉蓋

梶の葉をのせた水指を運ぶところからもう清々しく、生の葉がもたらす清涼感は格別だと思います

そして、二週目からは運びの点前になります 荘物を主に、中級以上の方は四ヶ伝を稽古いたしましょう

令和七年六月の稽古

庭の茶花のご機嫌はさまざまで、毎年きちんと咲いてくれる花もあれば、せっかちさんやのんびり屋さんや今年はだんまりという花もおります

花たちと相談で床の茶花も決まってゆきますが、庭の花だけではなかなか足りなくなりますので、花屋さんで購入したり師匠や先輩方に頂戴したりと花探しには苦心しております

さて、6月の稽古としましては、台子となっております

前半は行台子、後半は真台子のお点前をいたしましょう

フォーマルを知ることでカジュアルにも品が生まれますから、小さな所作にも心を配っていただきたいですね

令和七年五月の稽古

卯の花の匂う垣根に ほととぎす早も来 鳴きて 忍び音もらす夏は来ぬ

大好きな歌を口ずさみたくなる5月となりました

稽古場では炉風炉の入れ替えを行い、初風炉の稽古が始まっております

1週目は灰形を体験してもらい、2週目は炭手前を全員に稽古いたします

お茶のお点前は3週目からとなります

背筋を伸ばし、凛とした横顔を見せながら、清々しいお点前をするというのが風炉の魅力です

初風炉の爽やかさを感じながら、心整う時間を紡いでいきましょう

令和七年四月の稽古

肌寒い朝から麗らかなお昼へと、なんとも春らしい気候になってまいりましたね

茶室では、炉の最後のひと月となります

炉の火に覆い被さるような透木釜を、主客の間に挟み、ついこの前まではありがたかった炭火の温かさも、風の向きが変わると同時に、お役御免な空気になっていくのがまた季節を味わう醍醐味になっています

4月の稽古は、まずは花見の趣向の吉野棚

長板一つ置き、それから、圓能斎・淡々斎・鵬雲斎の3人の宗匠に仕えられた大師匠より伝わるお点前について、お伝えできましたらと思います

月の前半は、桜…桜の日本人の魂に訴えかける時期ですから、花見気分も大いに楽しみたいかと存じます 

令和七年三月の稽古

三寒四温に翻弄される早春ですが、いよいよ暖かくなってくることに喜びを感じます

3月は裏千家では天井の蛭釘から鎖を垂らし、釣り釜にいたします

釣り釜のある茶室風景は、いつもと景色が違い新鮮な気持ちになりますね

今月は、小棚のお稽古となります 週替わりで扱いの違う棚のお点前を稽古いたします

小習いの、長緒、大津袋、包み帛紗、貴人点、貴人清次も積極的に取り組んでいただきましょう

令和七年一月の稽古

気がつくともう一月も半ばを過ぎて、新年のご挨拶も遠い過去になってしまったようです

しかしながら、お茶の世界ではまだまだ初釜シーズンは続いており、私個人としましては、2月1日の初茶会まではほこほことした気分でおります

さて、我が家の1月の稽古は、台子でございます

台子の上には、水指、杓立て、建水、蓋置の総荘、侘び茶以前の書院の茶には、厳かな雰囲気が漂います

前半は皆具をのせた真台子、後半は乱れの竹台子でお点前に励んでいただきます

今年は、少し楽しいイベントも考えておりますので、社中以外の方々にもお目にかかれる機会かと思います

企画を楽しみにしていただけると嬉うございます

令和六年十一月の稽古

無事に開炉を済ませ、炉のお稽古に入った我が家でございます

6ヶ月ごとに風炉と炉が入れ替わる茶室ですが、その半年の間に目の前のことに真摯に取り組むからだと信じておりますが、炉風炉が入れ替わると途端に記憶がリセットされてしまって、お点前に戸惑うと吐露される方の多いこと

漫然と進むのではなく、切り替えがあることでいつも新鮮に、そして、ハッとする気づきを得られることが、茶道の素敵なところだと捉えています

11月は、小棚の稽古といたします

前半は利休好みの山里棚、後半は玄々斎好みの更好棚を使い、棚ごとの約束事を確認しながら炉の点前をいたします