令和五年四月の稽古

今年の桜はことさら早く、さらに雨にさらされて花見もそこそこに散り始めています

茶室は、3月の釣り釜を下ろし、4月は透木釜(すきぎがま)をかけ、炉の中の炭火を覆い隠すような景色になります

炉の最後とひと月、茶花も椿が手に入りにくくなってまいりましたが、炉に使える草花も何種類かございますので、そういったものも生けながらお伝えしていこうと思います

お点前は、棚もの、長板など、週替わりに変えてお稽古してまいります

令和四年九月の稽古

9月になりますと、着物は薄物から単(ひとえ)となります

まだ蒸し暑い日が続いておりますが、庭からコオロギの合唱が聞こえてきますと、やはり秋の風情を感じ、静かに涼しい気持ちになってまいりますから不思議ですね

9月は、まず1週目に重陽の節句がございまして、我が家ではちょっとしたおしのぎとともに、節句を楽しんでおります

お稽古は、小習い16ヶ条のいくつかを、それぞれの進み具合に応じて学んでいただきます

裏千家ならではの、棗での濃茶点前、大津袋・包み帛紗

それから長緒がついた仕覆の大海茶入なども

長板、小棚、運び、さまざまな点前を経験することで、稽古の奥行きを広げていっていただきたいと思います

令和四年八月の稽古

厳しい暑さがまだ続き、時折降る雨は激しく、立秋を迎えてもなお、夏の気候は弱まらないようです

さて、我が家の8月は、茶箱となっております

裏千家11代玄々斎ご考案の雪・月・花の3つの点前

そして、玄々斎が更にお作りになった卯の花点前(後に12代圓能斎が改良され今の形に)

圓能斎好みの御所籠を用いて、13代淡々斎がご考案された色紙点前

そして淡々斎が更にご考案されました和敬点前

と、茶箱・茶籠の点前は沢山ございますので、まずは茶箱の平点前である「卯の花」からお稽古して参ります

普段のものより小さなお道具を使いまして、まるでおままごとのようなワクワクした気持ちでお点前していただきたいと思います

令和四年七月の稽古

慌ただしく夏がやってきました

本番の夏の容赦のない日差しに、負けないようにと健康管理にも気をつかうこの頃でございます

さて、7月はまず、七夕の節句がございました

我が家では、床に笹を飾って、お弟子さん達に短冊に願いを書いて飾っていただくのが恒例です

お点前も、梶の葉を水指の蓋に見立てる「葉蓋の点前」で涼しげに薄茶を点てていただきました

2週目からは、お台子でのお稽古になります

日本の茶の湯のルーツの形、勢揃いしたお道具を前に、自然と気持ちも引き締まります

心頭滅却して、心を鎮めながら、暑さに負けないお稽古、……となりますように

令和四年六月の稽古

梅雨入りとなりました東京

湿った空気でひんやりとした朝、庭の緑がより一層生き生きしているのを感じます

茶道では、衣替えをすませると、涼しさを演出するお道具がお見えいたします

お菓子も喉ごしの良い、寒天や葛のお菓子が並び、お茶碗も、平たくてお茶が冷めやすい平茶碗なども出てまいります

月末は、夏を越すための夏越しの祓えがございますから、季節のお話もまたそういった宮中行事や神事のお話などさせていただきますね

令和四年五月の稽古

新緑の色も日に日に濃くなり、青葉へと変化してまいりました

我が家の門からのアプローチも緑が茂っております

5月は初風炉でございます

青葉をかすめて吹き込む爽やかな南風は「薫風」

茶室は夏の様相となります

風炉でのお稽古は、柄杓の扱いが変わり、また新しい気持ちでお点前となりますね

背筋の伸びる風炉の点前をどうぞ楽しんでいただきたいと思います

令和四年四月の稽古

暑い寒いがなかなか定まらない日が続く4月です

しかしながら、今年は桜が長く楽しめているような気がいたしますね

品種によって早咲き・遅咲きがあり、今は最後の八重桜が満開の東京です

4月の茶室は、炉の最後のひと月となりました

炉の中の釜も、釣り釜から透木釜へと変わっております

今月の前半はやはり、桜の趣向でお稽古をしました

後半は、炉の最後を名残惜しみながら、またやってくるお節句に思いを馳せて、お稽古したいと思います

令和四年三月の稽古

春は名のみの風の寒さよ、と歌っているうちに、春らしい暖かい日も増えてまいりました

山の雪解けで、川の水かさも多くなる「雨水」

地の下で眠っていた生き物たちも目を覚まして動き始める「啓蟄」

春の足音が聞こえるようで、ワクワクと心浮き立つこの頃です

さて、3月はまず、上巳の節句「雛祭り」がございます

我が家でも、ささやかながら雛の趣向でお節句をお祝いいたします

3月の稽古は、釣り釜

東から吹く春風に、ゆうらり揺られているようなその姿に、より春らしい気持ちになることでしょう

小棚をいくつか週を変えて出す予定ですので、その扱いの違いなどを知っていただけたらと思います

令和四年二月の稽古

梅の花が開いているのがそこここで見られます

可愛いメジロが花をついばんでいる様も可愛いですね

春の気配を感じますが、まだ気温は低くて寒い日が続いております

2月の稽古は、裏千家特有の大炉のお点前です

いつもと違う、逆勝手という亭主と客の位置が左右反対になるお点前なので、炉のお点前に慣れてきた頃ですが、その慣れを許さない、頭の体操になりますよ

この寒い時期、出来るだけ熱を逃さない形の筒茶碗というお茶碗を、使います

大きな炉から見える赤い火、広口の釜から上がるたっぷりの湯気、手を温めながらいただく筒茶碗

おもてなしの心を、寒さがより際立たせる2月の趣向です 楽しんでまいりましょう

令和四年一月の稽古

新しい年を迎え、小正月も過ぎましたのにご挨拶が遅れてしまいました

本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます

今年初めの初釜が無事執り行えたことは、本当に喜ばしいことでした
去年と同様に少人数に分けての開催となりましたが、それぞれに年の始まりを寿ぐことが出来ました

さて、1月のお稽古は、お台子です

大陸から伝わってきたお茶のスタイル、とても格式が高いお手前で、時間もいつもよりかかるのですが、お点前すると、心地よい緊張感で背筋が伸びる気持ちがいたしますよ