令和四年三月の稽古

春は名のみの風の寒さよ、と歌っているうちに、春らしい暖かい日も増えてまいりました

山の雪解けで、川の水かさも多くなる「雨水」

地の下で眠っていた生き物たちも目を覚まして動き始める「啓蟄」

春の足音が聞こえるようで、ワクワクと心浮き立つこの頃です

さて、3月はまず、上巳の節句「雛祭り」がございます

我が家でも、ささやかながら雛の趣向でお節句をお祝いいたします

3月の稽古は、釣り釜

東から吹く春風に、ゆうらり揺られているようなその姿に、より春らしい気持ちになることでしょう

小棚をいくつか週を変えて出す予定ですので、その扱いの違いなどを知っていただけたらと思います

令和四年二月の稽古

梅の花が開いているのがそこここで見られます

可愛いメジロが花をついばんでいる様も可愛いですね

春の気配を感じますが、まだ気温は低くて寒い日が続いております

2月の稽古は、裏千家特有の大炉のお点前です

いつもと違う、逆勝手という亭主と客の位置が左右反対になるお点前なので、炉のお点前に慣れてきた頃ですが、その慣れを許さない、頭の体操になりますよ

この寒い時期、出来るだけ熱を逃さない形の筒茶碗というお茶碗を、使います

大きな炉から見える赤い火、広口の釜から上がるたっぷりの湯気、手を温めながらいただく筒茶碗

おもてなしの心を、寒さがより際立たせる2月の趣向です 楽しんでまいりましょう

令和四年一月の稽古

新しい年を迎え、小正月も過ぎましたのにご挨拶が遅れてしまいました

本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます

今年初めの初釜が無事執り行えたことは、本当に喜ばしいことでした
去年と同様に少人数に分けての開催となりましたが、それぞれに年の始まりを寿ぐことが出来ました

さて、1月のお稽古は、お台子です

大陸から伝わってきたお茶のスタイル、とても格式が高いお手前で、時間もいつもよりかかるのですが、お点前すると、心地よい緊張感で背筋が伸びる気持ちがいたしますよ

令和三年十二月の稽古

小春日が続き、師走になったこともあまり実感できていない阿佐ヶ谷です

しかし、炉の大きな炭、釜から上がる湯気から伝わる温かさは、素直にありがたく感じるようになり、時おり首をすくめては手を擦り合わせたりなどしております

さて、12月は、運びのお点前を中心にお稽古いたします

何も置いていない畳の上に、一つ一つ道具を持ち出してのお点前

実にシンプルと思われがちですが、その極限まで簡素化されたお点前は、侘び茶の真髄、自身の精神を鎮め、おもてなしの気持ちを込めることが出来ると信じております

中級以上の方々には、四ヶ伝をしていただきますね

歳月人を待たず 慌ただしく過ぎる日常ですが、茶室でしばしゆっくりとした時間を感じていただければと思います

令和三年十一月の稽古

今年も11月を迎え、茶室は炉開きとなりました

茶の正月ともいわれる開炉、紋付を着て、茶壷を床に飾り、「三べ」と呼ばれる「織部」「伊部(いんべ)」「瓢(ふくべ)」の道具を出して、手製のおぜんざいを頂きお祝いします

半年ぶりにお目見えした炉には、夏に丹精した湿し灰を入れ、大きな釜の水を沸騰させるだけの力を持った大きな炭が赤々と燃えております

今年の炉開きはポカポカ陽気にて、暑いぐらいでしたが、すぐに寒くなってくることでしょう

ここから6ヶ月炉の季節、炉を囲んではお茶を点て、また頂き、和の心を通い合わせる、そのことにこの上ない喜びを感じますね

11月はまずは小棚などのお稽古をしたいと思います

令和三年十月の稽古

10月は風炉の最後のひと月です

風炉の名残りという言葉で表されるのですが、稽古では、なぜ「名残り」というのか、などお話しさせていただいています

日本人特有の侘びや寂びを、存分に味わうひと月となるでしょう

お点前は、風炉を少しお客様のほうに近づける、中置きというものになります

手前座の真ん中に風炉釜がくる頃には、朝の肌寒さも強くなり、衣替えも然りと思われるのですが、今年はまだまだ汗ばむ日が続いています

中置きには、小板大板、五行棚と種類がありますが、稽古では、それぞれの違いを楽しんでいこうと思います

令和三年九月の稽古

厳しい暑さも、雨と共におさまりを見せるこの頃です

9月には、9月9日「重陽の節句」がございます

お節句の中で、あまり一般に浸透していないように思われますが、菊にあやかり長寿を願う素敵なお節句で、私は大好きです

お稽古の中で、着せ綿、菊慈童などの、重陽の節句にまつわるお話をさせていただいております

それから、お月見、お彼岸と暦が進むとまたさらに、季節をより身近に感じながら、お茶を楽しむことが出来ると思いますよ

そろそろ盛大に虫の音も聞こえてきますでしょうし、秋の味覚も楽しみですね

令和三年八月の稽古

厳しい暑さの中、今年はオリンピックが開催されています

早朝や夕方から競技を行うなど、屋外の種目は工夫が必要なようですね

そんな暑い月ですから、8月は茶箱をいたします

瓶かけに火を入れずに、銀瓶に湯をたっぷり入れて使えば、一点前は十分に持ちますし、火を使わない分、部屋が暑くなりませんからね

小さな箱から、これまた小さなお茶碗やお棗が出てきて、頂く方ももてなす方も、なんだかおままごとをしているみたいな可愛らしさです

振り出しという小瓶のような菓子器から、ころころと金平糖を振り出し、お茶が点つまでその優しい甘さを楽しみましょう

令和三年七月の稽古

遅めの梅雨入りとなり、雨模様で7月が始まりました

7月といえば、まず七夕がありますね

稽古でも、皆さまに短冊を書いていただいております

水指の蓋の代わりに大きな葉っぱをのせてお茶を差し上げる、葉蓋の点前というのをするのが定番です

涼しげで、趣があり、年に一度このお点前をするのを楽しみになさっている方は多いと思います

後半は台子を出す予定です

奥伝もいたしますが、基本の平点前を怠らないことが大切ですので、しっかりと台子に向き合う姿勢を、心に留めていただけたらと思っています

令和三年六月の稽古

今年は梅雨の知らせが早いかと思われましたが、思いの外空の青い日もあり、未だ入梅に至らずの東京です

6月は一年の半分を数え、夏を越す前に難を祓う「夏越の祓え」があります

我が家も玄関に茅の輪を飾り、コロナ退散を祈っております

6月の稽古は運びでのお稽古、ベテランさんたちは四ヶ伝をしていただいています

運びの点前は一番シンプルでありながら、道具の場所をきちんと身につけるのは大変なものです

畳のひと目ひと目を大切に、心は静かに、正確かつ迷いのない所作ができるようにしたいですね