令和二年四月

  1. 桜が早々と咲き始めましたので、4月まで咲いていてくれるか心配でしたが、寒くなったり暖かくなったり、雪まで降ったりと乱高下する気温に、桜もびっくりしたのか、まだ散りきっていません

紀貫之の

桜散る木の下風はさむからで 空に知られぬ雪ぞふりける

のように、お空は降らせた覚えのない雪が、いえ桜の花びらが雪のように、散って降っていることだな、と

まさに今、そんな景色になっています

今月はお稽古をお休みにいたしました

でも、季節を楽しむ心はしまい込まずに、お家でもお茶を点てて楽しんでいただきたいと思っております

我が家も茶室は出来るだけ室礼を整えて、平常心を心がけたい所存です

令和二年三月のお稽古

風の冷たさはありますが、もう春の香りが漂うこの頃です

3月のお稽古は、雛祭りの趣向からスタート

雛祭りは上巳の節句といい、元は冬の間の穢れを祓い清める行事でしたが、今では女の子の幸せを願い、可愛らしい飾り付けがされています

我が家でも、お道具の準備はとても楽しく、いつにも増して心躍ります

そして、3月は天井から鎖で釜をぶら下げる、釣釜となります

東から吹く春風にゆらりと揺れる釜の楽しさを感じながら、お稽古をいたしましょう

令和二年二月の稽古

2月は1年で1番寒い時期とされています

この厳寒の時期には、裏千家では、大炉といって、いつもよりも大きい囲炉裏のような炉を切りましてお茶をいたします

炉が大きいと、横から炭が赤々と燃えるのを眺めることができますし、広口の釜を使えば、たっぷり湯気が上がりまして、寒いこの時期のご馳走となるのです

ただ、逆勝手といいまして、いつもと左右反対のお稽古になり、混乱しつつも、頭の体操になります

親しみやすさと、難解さ、両方併せ持つ大炉のお稽古、なかなか楽しいものです

 

令和二年一月の稽古

新しい年が明けてから、しばらく経ってしまいましたが、我が家では初釜も無事に済みまして、通常の稽古が始まりました

新年のお点前は、長板の総荘りで火箸の扱いなどいたします

総荘りは、大陸から渡ってきた形を受け継いでいるスタイルです

ルーツに近いお道具でお稽古しながら、お茶を点てるのになぜ火箸が必要なのか?、そんなお話もいたしますよ

十二月のお稽古

いよいよ師走となり、「歳月人を待たず」を実感するこの頃です

12月の1日から8日まで、禅寺では修行僧たちが寝ずの坐禅をする臘八摂心(ろうはちせっしん)が行われています

冷え込む中でのその修行は、我々一般の者には想像出来ない厳しさでしょう

禅と茶道は密接に関わりあい、哲学として茶の湯に精神性をもたせたことで、茶の湯が茶の「道」にまで高められています

ますます慌ただしくなっていく歳末かと思いますが、お茶のお稽古で、自身の内なる部分へと意識を集中して、ひと時、静寂に耳を傾けてみてはいかがかと存じます

 

十一月のお稽古

11月はお茶の世界ではお正月です

畳に炉が切られます

ここから半年間は炉の期間となります

おぜんざいでお祝いいたしますよ

炉開きでは3つの「べ」のつくものを使うといいとされております

「ふくべ」瓢で出来たもの、「おりべ」織部焼又は織部をイメージしたもの、「いんべ」備前焼のもの

我が家では大きなふくべの炭斗をだしています

その他の「べ」もちゃんとありますよ

お客様の近くに釜が来て、亭主は少し客側に体を向けてお点前します

親しげで暖かな雰囲気の中、リラックスしてお稽古していただきたいと思います

十月のお稽古

10月は風炉の最後の月です

夏から秋にかけて、茶室の端にあった火は、10月になると、風炉を少しお客様のほうに近づけてお手前をする「中置き」になります

少し火が恋しくなる時候……なはずなのですが、今年はまだまだ暑い日が続いていますね 火は全然恋しくなりません

でも、風炉の名残りを楽しむひと月、最後の草花をたっぷり楽しみ、実りの味覚もたのしみます

お道具も、侘びたものや民藝のもの外国のものなどを、遊び心で使って参りますよ

九月のお稽古

令和元年の夏は遅く始まり、後ろに長引いているようですね

9月になっても蝉が盛りと鳴いています

しかし、街には秋祭りや例大祭の準備が目にとまります

紙垂(しで)や提灯をぶら下げたしめ縄が、並木と並木を繋げています

もうじき、ここを通るお神輿が見られるのかとワクワクしますね

それに加えて、9月には重陽の節句があります

五節句の中ではまだマイナーですが、菊の節句でとても素敵ですよ

お稽古ではそんなお話もしながら、季節を慈しんでいきたいと思います

 

八月のお稽古

梅雨が明けまして、うだる暑さが続いております

8月のお稽古は、茶箱をいたします

小箱からコンパクトサイズのお道具たちが次々と登場する茶箱のお点前は、可愛くて楽しいですよ

野点も可能なのです

いつか、これらの小さい仲間たちとお外でお茶を楽しむことができたらな、と夢が膨らみますよ

それと共に、この8月、上級者には奥伝のお稽古にも励んでいただきたいところです

仏教には「夏安居(げあんご)」という言葉があります

夏篭りの修行のことですが、ひとつお茶室で、心頭滅却して、精神の修行にいそしむのも、夏の一つの過ごし方だと思います

七月のお稽古


梅雨の最中ですが、7月になりましたら、七夕の節句ですね

旧暦の七夕でしたら梅雨も明けているころなのでしょうが、カレンダーどおりしてしまいますので、ちょっとお天気もそぐわない感じではあります

7月のお稽古は、梶の葉を水指の蓋にした「葉蓋」のお点前や、平茶碗にたっぷり水をはって持ち出す「洗い茶巾」のお点前など、涼しさをより感じられるお点前をいたします